オースティンとかナショナリズムとか

研究日(というか、月曜日は授業準備日)。いつものようにファミレスで今週の授業の準備など。いよいよ前期も終わりが見えてきた。


先週土曜日(6月30日)は、午後から目黒。日本オースティン協会第1回大会@明治学院大学白金キャンパス。昨年発足したばかりの学会で、昨年の準備大会に続いて今回が第1回ということ。午前には研究発表があったのだけど、そちらはパスさせていただき、午後からの特別講演とシンポジウムを拝聴。


私は小説の専門でもないし、ジェーン・オースティンに関しては敬して遠ざけるというか、部屋の本棚を眺めても翻訳が数冊あるだけで、それすらまともに読んだ覚えがない。読まなきゃいかんと思うし、読んだらきっとそれなりに面白いのだろうとも思うのだけど、今のところ全然手が回っていない。では、なぜわざわざ貴重な週末にのこのこと出かけて行ったかといえば、お世話になっている先生方がシンポで話すので、せっかくなので<英文科的教養>のための耳学問でもというくらいの軽い気持ち。


もう少しまともな理由としては、オースティンが18世紀後半から19世紀初頭に生きた人であり、その作品は1810年代に主に発表されているので、勢い18世紀からの世紀の移り変わりという文脈に位置づけられる作家であるということがある。で、今回のシンポではその世紀転換期において小説というものがどのように変わっていったのかということがテーマになっていて、ということは18世紀関連の話も聴けるだろうという期待があったのである。では、なぜ18世紀関連の話に興味を持つかといえば、私の専門領域ということになっている17世紀後半は、18世紀との連続性のなかで捉えられることの多い時期であるから。


はたして、オースティンのみならずマライア・エッジワースやウォルター・スコットの話なども聴けて、<教養>が身に付いたかどうかはともかく、有意義な時間を過ごさせていただいた。


月が替わって昨日(7月1日)は、必要があってナショナリズム論を少し。手始めに、下記のリーダーの "Nationalism"のセクションからいくつかの論考(ごく短い抜粋だけど)を。ファノンやベネディクト・アンダーソンなど。

The Post-Colonial Studies Reader

The Post-Colonial Studies Reader


で、その上で、↓の新書。

ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る (光文社新書)

ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る (光文社新書)

前半がアンダーソンが2年前に来日したときの講演、後半が編訳者による解説という構成。前半部分はもちろん面白いのだけど、後半では日本政治思想史が専門という編訳者がアンダーソンの議論を「日本」という文脈で引き受けていて興味深い。