英文学会関東支部

12日土曜日。昼から渋谷。日本英文学会関東支部一月例会@青山学院大学


シンポジウムは「自伝/ライフライティング研究に何ができるか?」
これについては、司会を担当なさったN先生のご報告と、スピーカーの一人E先生(id:melaniek)のご報告とその前の関連エントリーを。


N先生もお書きになっているとおり、スピーカーのお三方は皆さんとても面白い話をしてくれて、有益。特に最初のK先生の(主にフランスにおける)「自伝」研究のサーヴェイなどは、とても勉強になるものだった。もともとの素朴な意味での「自伝」から、「自伝的なもの」という形で研究対象が広がり、また精緻な理論化もなされたけれども、「書く意志」というバルトの言葉を鍵に再び「自己について書く」ということについて考え直してみる必要があるのでは、ということだけど、もちろん「自己」などというものはそんなに簡単に成り立つ概念ではもはやありえないわけで、必然的に「自己の複数性」とか「自己と他者」とか「書く欲望とその禁忌」とか、そういう話につながっていく。そうすると二番目のE先生の精神分析とライフライティングという話にもつながり、三番目のY先生の「書く自己(書くことを欲望し、または実践する自己)」と「書かせない自己(その欲望に歯止めを書ける自己)」という議論に続いていく、と。(こういうまとめ方は会場でもなされた。)


あと、非常に素朴な話として、話し方がうまいとか英語の発音が綺麗とか、いいなぁと。


シンポの後は、「若手大学教員のためのワークショップ」。私はグループ2「英語を「書く」ことの教え方」に参加。


論点はいろいろ出たけど、一番は「添削をどうするか」ということか。もちろん学生のレベルや授業の目的次第だけども、どこを添削するのか(文法や単語からエッセイとしての議論の組み立てまで、全てをチェックするのか、あるいは段階的にポイントをしぼって指導していくか)、どのような方法で添削するのか(直接的にこちらが書き直してしまうか、下線を引くとかcorrection symbolを使って学生自身に書き直させるか)、教員の添削だけでなくpeer reviewは使えるのか(その際の注意点や問題点)、などなど。関連して、フィードバックの仕方としては、提出されたものを添削して個々人に返却するだけでなく、クラス全体(あるいは複数の学生)に共通して見られる問題点についてどのように授業時間を使って解説などを行うかといったことも。


今回の企画は初めての試みで、まだ手探り状態だったけど、有意義なものだったと思う。どうやら今後も継続的に行っていけそうなので、次はメールで参加者の事前のやり取りなどをもう少ししておけば、当日の短い時間をもっとうまく使えるかなと。


ワークショップのあとにも研究発表はあったのだけど、そちらはパスさせてもらい、そのままメンバーたちで学食へ行き、「ワークショップ第2部(非公式)」を。こちらでは主に、ワークショップ本番では別グループで議論していた人たちで「そっちはどうだった?」的な話を中心に、今後の企画についてもあれこれ。あとは四方山話。


その後はメンバーの多くと一緒に懇親会。おかげでかつてないほど懇親会の若手参加者が増える。これはよいこと。まあ、そのせいで懇親会場がせまくて大変だったけど。