読書計画など

いや、まあ、別に計画というほどでもなくて結局いきあたりばったりではあるけど、とりあえず。
先週以来のメールマン『革命と反復』の(電車内その他での)再読がようやく終わりそうなので(結局、少しは理解できた気になった部分もあるけど、やっぱり難物)、その後の電車内読書は以下の順に。

西洋哲学史―近代から現代へ (岩波新書)

西洋哲学史―近代から現代へ (岩波新書)

入門!論理学 (中公新書)

入門!論理学 (中公新書)

どちらも、いますぐ読む必要があるものではないけど一般教養として。


電車内以外の読書としては、前期から少しずつ読んでいるマーヴェル関係で、エンプソンの以下の本のマーヴェル論を読むつもり。

Some Versions of Pastoral (New Directions Paperbook ; 92)

Some Versions of Pastoral (New Directions Paperbook ; 92)


ちなみにマーヴェル関係では最近、"Horatian Ode"について以下の2本の論文を。
Cleanth Brooks, "Marvell's Horatian Ode." English Institute Essays (1947)(これが初出なんだけど、正確な書誌情報と頁数をメモってないや。読んだのは別のアンソロジーからのコピーだけど、そっちも書誌情報を確認してない。基本をおろそかにしているなぁ。)

Blair Worden, "Andrew Marvell, Oliver Cromwell, and the Horatian Ode." Eds. Kevin Sharpe and Steven N. Zwicker Politics of Discourse: The Literature and History of Sventeenth-Century England. University of California Press, 1987): 150-62.

前者は「新批評」の代表的批評家と見なされる著者による、見事な精読。いかにこの詩が「多義的」なものであるかを示す手際はさすがだと思う。もちろん、その「多義性」を作品の内的「統一性」に落とし込んでしまうのは(一篇の作品論としてはやっぱり見事なのだけど)、やはりもったいないか。

それに対して後者は、いわゆる「新歴史主義」的批評。重要なインターテクストとなっているのは、イングランド共和政府のプロパガンディストとして活躍したMarchamont Nedhamによるテクスト。「テクストの歴史性、歴史のテクスト性」(by Louis Montrose)というのは新歴史主義のキャッチフレーズのひとつみたいなものだけど、このウォーデンの議論は、最初の方はなんだか「テクスト」と「コンテクスト」が妙にはっきりわかれた形で話が進んで行くのだけど、段々と上記ニーダムとマーヴェルのテクストとのインターテクスチュアリティが問題になってきて、最後にはテクストは常に既にコンテクストを形成しているのだということがわかってくる。へぇ、ってなった。

ちなみに、マーヴェルのこの詩の解釈として出てくるのは、1650年の忠誠誓約を是とする立場と、プロテスタントかつ共和制のもとでのイングランドの「帝国化」(具体的には、大陸のカトリック君主国を打ち倒すことで成し遂げられる)を希求する立場。もちろん、これは言説的な立場なわけで、「実際に」マーヴェルがどう思っていたかは知らない。


マーヴェル関係では、マーヴェルのパストラルについて、ウィリアムズが『田舎と都会』で何か言っていないかもチェックするつもり。マーヴェルはドライデンとの比較対象としても面白いので、引き続き少しずつ勉強していくことに。


で、ドライデン関係では、そろそろ来年の博論提出に向けて、今まで書いたものを見直すとともに、まだまだ足りない部分を補うためにネタの補充を。具体的には、英雄劇『オーレング・ジーブ』、悲喜劇『当世風結婚』、それと批評『劇詩論』あたりについての議論は組み込みこみたいので、その方面を少しずつ。喜劇やシェイクスピア改作なども読むだけ読んでいかないとな。


で、『オーレング・ジーブ』については、前に研究会の際に教えてもらった以下の文献に議論が含まれているので、そこをスタートにして何か考えられれば。

Fabulous Orients: Fictions of the East in England 1662-1785

Fabulous Orients: Fictions of the East in England 1662-1785


『劇詩論』については、というかドライデンの「文学理論」については、以下を批判的に再読していくのが重要な課題。

The Imperial Dryden: The Poetics of Appropriation in Seventeenth-Century England

The Imperial Dryden: The Poetics of Appropriation in Seventeenth-Century England


その他その他。勤勉にならんとなぁ。