研究会、今年のまとめ
28日(日曜日)と29日(月曜日)、ともに昼から神保町。第30回スチュアート朝研究会@専修大学神田キャンパス。
今回は2日続きのプログラムで文献解題を。
取り上げたのは、まずは雑誌Comparative Drama 41. 2 (Spring 2008) の特集 "Rethinking Restoration and Eighteenth-Century Drama". 目次は以下の通り。
Robert Markley. Introduction: Rethinking Restoration and Eighteenth-Century Drama. pp.1-6.
Laura J Rosenthal. "All injury's forgot": Restoration Sex Comedy and National Amnesia. pp.7-28.
Tita Chico. Gimcrack's Legacy: Sex, Wealth, and the Theater of Experimental Philosophy. pp.29-49.
Diana Jaher. The Paradoxes of Slavery in Thomas Southerne's Oroonoko. pp.50-72.
Jean Marsden. Performing the West Indies: Comedy, Feeling, and British Identity. pp. 72-88.
James Thompson. Sheridan, The School for Scandal, and Aggression. pp.89-98.
全体として、あまり「実証的」な(新)歴史主義的立場は取らず、「テクストの読み」と「イデオロギー分析」で勝負するタイプか(まあ、個々の論文でだいぶ違いはあるけど)。良くも悪くも、現在の「アメリカ型」初期近代演劇研究のスタンダードかなと。もちろん面白いし勉強にもなるのだけど、ただ、いささかの「行き詰まり」感もあり、「再考」を謳った特集ではあるものの、それで先に進む感覚は今ひとつ、ということか。
文献解題もうひとつ、こちらは「イギリス型」

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スタンスとしては、「現在では使える資料は山ほどあるのだから、まずは徹底的に実証をしろ。話はそれからだ」ということか。もちろんそれは正しい。日本で手に入る資料だって増えているわけで。まあ、そうはいっても、およそ日本にいたのでは(というか、日本で大学の教員をまともにやっていたのでは)無理なことも多々あるわけで、結局は、上述の「アメリカ型」とこの「イギリス型」(まあ、そんなに単純なものでもないけど)をうまく合わせつつ、「日本型(?)」を模索していくしかないのかなと。
ちなみに、移動の電車のお供はこれ

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ということで、年内の予定は終了。これから帰省。
今年を振り返ってみるに、なんとも学問的生産性の低い一年(去年も同じようなことを言っていた気がする)。活字で出たのは昨年書いたものが三月に出ただけだし、学会発表も一回だけだし。それと英文学会関東支部の若手教員ワークショップに参加したのと、研究会で報告をさせてもらったくらい。で、あとは、去年から続いている出版企画のための原稿の修正とか(これは来年には出るのかな)、翻訳の修正とか(実はまだ終わってないけど、これも来年出るのかしら)だけで、新たに書いたものってないのでは。よろしくない。来年3月締切の某学会の論集に投稿しようかとも思っているけど、ちょっときついか。今やってる翻訳の解題とかも書かないといけないし、新たな翻訳仕事も春休み中にやってしまわないといけないし(関係各位、よろしくお願いします)。そうでなくともこれからしばらくはバタバタすること必定だし。まあ、どうにかやっていこう。
今年はそのくせ舞台やライブには比較的よく行った年。実は来年も1月2月にはいくつか芝居を観にいく予定になっている。金欠の理由はそこだ。節約しないと。
今年一年、良いことも悪いこともあったし、嬉しいことも悲しいこともあった。とはいえ、どうやら私は今年も生き延びたわけで、生き延びた者の務めを果たすべく、来年もどうにかやっていければと。ということで、来年の目標は、「生き延びる(生物的にも業界的にも)」。
今年もいろいろな方々にお世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いします。良いお年を。