「ふ」は「復讐」の「ふ」

いろいろやることはあるのだけど、GyaOで『Vフォー・ヴェンデッタ』を公開していたので観る(すいませんすいません)。しかし、この邦題はどうにかならなかったのか。原題 V for Vendetta は「VはVendettaのV」ということで、もちろんそのまま邦題にはならないのだけど、何か工夫して作品の内容がわかるようなものを考えるべきだったのでは。

メトロポリス』、『すばらしき新世界』、『1984年』、『未来世紀ブラジル』なんかの系譜に連なるディストピアもの+ダーク・ヒーローもの、といえばいいのだろうけど、話としてはそれほど目新しいものでもない気がするし、結末もいささか予定調和的な気がしないでもない。まあ、2001年9月9日の後に制作され、2005年7月7日の後に公開されたという点に意味はあるのだろう。

そういった点は措いておくとして、結構好きなタイプの映画ではある。ガイ・フォークスだし、シェイクスピアの引用がやたらと多いし、ビッグ・ベンが吹っ飛ぶシーンなども壮観だし、それにナタリー・ポートマンが美しい。

初期近代イングランドにおける反カトリック運動を語る際にガイ・フォークスは言及されるし、王政復古期のテクストにだってその名前や「火薬陰謀事件」(Gunpowder Plot)のことは出てくるわけで(特に1666年のロンドン大火のときと、1678年からの教皇主義者陰謀事件のとき)、そのあたりの話をするときのネタにもなるか。