『南へ』&学位授与式

3月18日、夜に池袋。野田地図第16回公演『南へ』@東京芸術劇場 中ホール。
作・演出 野田秀樹。出演 妻夫木聡 蒼井優 渡辺いっけい 高田聖子 チョウソンハ 黒木華 太田緑ロランス 銀粉蝶 山崎清介 藤木孝 野田秀樹 他。

公演再開に際しての「劇場の灯を消してはいけない」という野田の言葉が印象的であった。内容を考えても、当然ありうる批判を覚悟のことではあったと思う。なにせ火山と地震の話である。その旨、開演前に異例のアナウンスつきであった。

「私」というアイデンティティと記憶、「日本人」という集合的アイデンティティと記憶/歴史、それを支える神話/詐欺としての「天皇」、そこに介入する(そして忘却される)「北」と「南」、といったテーマ群が見えるのだけど、いかんせんこのタイミングだと、いつくるのかという火山の噴火がもはや原発にしか見えない(たぶん、いまの状況でなければ戦争、とりわけ核兵器に見えたのではないかと思う)。そこに群がる報道陣や観光客の姿は、災害報道の在り方や、(今はまだないだろうけどひょっとして今後あるのかもしれない)「災害ツーリズム」とでも呼ぶようなものを想起させる。

印象としては、本講演でいえば『贋作 桜の森の満開の下』、『パンドラの鐘』、『オイル』、『ロープ』あたりのラインに連なる作品かなと。あくまで印象。


本日3月24日、予定されていた卒業式は中止となったが、学科専攻ごとに学位授与式。卒業生の出席率は7割くらい?あたふたと卒業証書授与やらなにやら。こういうタイミングで「社会に出る」若者たちではあるが、元気にやっていってもらいたい。困難な状況ではあるけれど、いつか、あのときの卒業生たちはさすがに違うね、と思わせてほしい。というような話をすればよかったのだけど、実際に卒業生に贈った言葉は、「自粛自粛言ってるけど、今日くらい飲めばいいんじゃね?」(大意)であった。別に後悔はしていない。