いろいろ

以下の本をご恵贈いただく。ありがとうございます。

大義を忘れるな -革命・テロ・反資本主義-

大義を忘れるな -革命・テロ・反資本主義-

これまでのジジェクの本の中ではもっとも大部なものだそうで、この(上の写真よりもっと濃く鮮やかな)ショッキング・オレンジのカヴァーのついた700ページほどの書物は、そのカヴァーに大きく書かれたタイトルとあいまって、インパクトが大きい。厚いから読むのに時間がかかるだろうけど、勉強させていただきます。


ここ数日、久しぶりにいろいろ「文化的な」活動を。

2月26日、昼から六本木。まずは「医学と芸術展:生命と愛の未来を探る――ダ・ヴィンチ、応挙、デミアン・ハースト」@森美術館。なんだか面白いものをたくさん観たなぁ、という感じか。初期近代について勉強している身としては、お馴染みの(?)ヴェサリウスをはじめ、16〜18世紀くらいのヨーロッパの解剖学関係のものがまず興味をひかれるものであったけど、他に時代や地域、ジャンルを越えてさまざま。フランシス・バーカー『振動する身体』(ありな書房)の読者にはお馴染みの(?)、レンブラントの『トゥルプ博士の解剖講義』(の黒田清輝による模写)とかも。

この展示は今日で終わってしまったけど、図録は普通に購入できる。当然というかなんというか、学魔・高山宏先生も一筆ものしている。


その後、六本木ヒルズでちょっと迷子になったのち、雨の中を歩いてもうひとつ展示を。
田中明子 個展「ainigma」@art gallery closet
http://www.gallery-closet.jp/exhibition.html

初日だったものでなんだか取材もきていて、作品に見入る一人の客として写真(後姿)を撮っていただいたり。
作品は、和紙に岩絵の具(というのがどんなものかよく知らないけど)で彩色したもので、そこに文学作品やエッセイ、時には学術書などからのテクストがわずかに見える、というものも。タイトルの意味とか、いろいろ考えるのが面白い。


一日空いて本日2月28日(日)、午後から桜木町バロック・オペラ『アーサー王」@神奈川県立音楽堂。作詞 ジョン・ドライデン、作曲 ヘンリー・パーセル音楽監督・指揮 エルヴェ・ニケ、演出・構成・字幕翻訳 伊藤隆浩。まさか日本で上演されるとは思っていなかったので、それだけで感動ものであるが、上演前のプレ・トークにて、演出の伊藤氏がこの作品とドライデンについて説明する際に『イギリス王政復古演劇案内』にも触れてくれたので(言及してくれたときにタイトルがちょっと違ったけど)、なお感動であった。

イギリス王政復古演劇案内

イギリス王政復古演劇案内

で、この作品はセミ・オペラであって、全編が歌で構成されているというわけではなく、むしろ物語自体は通常の「演劇」として進行するのだけど、今回の上演ではそこはばっさりカットして(字幕で場面を説明したりする程度。字幕は他にもいろいろ利用)、「パーセルの音楽を楽しませる」という点を重視した構成になっていた。その一方で、作品(歌詞)の内容が当時の社会とかかわっている(とくに風刺として)という解釈を敷衍して、その「当時の社会」を「現代(日本)社会」におきかえて考えることもできるように、演出や字幕に工夫を凝らしたりもしていて(このあたり、賛否両論だろうな)、なるほどこういうのもありなのかと、楽しく鑑賞してきた。

しかし、伊藤氏もパンフレットに書いていたけど、「日本語で書かれたドライデンの研究書」がほとんどないのは問題だろうなぁ。あの Steven N. Zwicker がドライデンの伝記を出すらしいから、誰か翻訳すればいいんだ。

The Life of John Dryden: A Critical Biography (Wiley Blackwell Critical Biographies)

The Life of John Dryden: A Critical Biography (Wiley Blackwell Critical Biographies)

追記:今回の演出について、私は普段オペラを観ないからあれこれ言う気もないけど、ウェヴ上ではやはりさまざまな批判が出ている(まあ、それもわかるけど。)そのなかでも、以下などは充実した批評かと。
http://queen-alice.air-nifty.com/blog/2010/02/227-8afc.html

あとはやっぱり。
http://d.hatena.ne.jp/charis/20100228