『オスマンVSヨーロッパ』

後期の授業で『オセロー』を扱う予定で、初期近代の地中海世界の状況に触れたいと思い、そうなるとやはりヨーロッパ世界とオスマン帝国との関係について考えておかないといけないかと。とりあえず本棚にはあったけど未読だった↓に目を通す。

オスマンVS.ヨーロッパ (講談社選書メチエ)

オスマンVS.ヨーロッパ (講談社選書メチエ)

タイトルから想像されるのはオスマン帝国とヨーロッパとの「対立」だけど――そしてもちろん本書でもその側面は書かれているわけわけだけど、むろん「文明の衝突」的なものではない――どちらかといえばここで重視されるのは両者の間の「交流」とか「交渉」といった方がいいもので、ヨーロッパ「近代」なるものができあがってくる歴史の中で、いかにオスマン帝国とのかかわりが重要であったか、同時にオスマン帝国の歴史と「近代化」においてヨーロッパ的なものがいかにとり込まれていったか、そういったことかと。

オスマン帝国の成立過程などについては序盤で詳細に記述されている。さまざまな民族の入り乱れるその歴史は、正直私なんかは読んでると結構きついけど、なるほどその民族的(そしてもちろん宗教的)複雑さこそがこの「帝国」の特徴であることもよくわかる。

そもそも本書で最初に問われるのは、なんで「トルコ行進曲」が書かれたのか、ということなわけで、そのあたり「オリエンタリズム」的な話にきちんとつなげていけるのだろうと。


ということで、授業準備もぼちぼちやりつつ(授業は18日から開始)、自分の論文もあるし、その他その他やることは山積。まだまだ暑いが、どうにか乗り切ろう。