『〈ノヴェル〉の考古学』

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“ノヴェル”の考古学―イギリス近代小説前史

“ノヴェル”の考古学―イギリス近代小説前史

私が都立大の大学院にいたころから取り組んでいらっしゃった一連のご研究がまとまったもの。一部はその頃に読ませていただいたことなど思い出す。

出版社による内容紹介は以下のとおり。

ルネサンスから18世紀にかけて、ヨーロッパは翻訳の時代だった。本書は、言説の多様性と分散性という存在様態を明確化しようとするフーコーのひそみに倣い、諸ジャンルが内部で角遂・葛藤する18世紀初頭の近代小説において、イギリスの作家たちが置かれていた文学的ミリューの「近似値」を復元し、イギリス近代小説の誕生にいたる見取り図を描くことをこころみる。

目次を見てもわかるが、古代ギリシャ・ローマから中世、ルネサンス期のイタリア、スペイン、フランスの「ロマンス」や「ノヴェッラ」、あるいは「ピカレスク小説」などの散文物語(もちろん英国のものも含む)が、翻訳などを通していかに18世紀イギリスにおける「小説/ノヴェル」の成立と関わったのか、といった感じでとても射程が広い。本書はいわば「総論」にあたるとのことで、今後「各論」が予定されているとのこと。